民泊の物件探し|賃貸・購入で失敗しない選び方

「民泊を始めたいのですが、物件はどうやって探せばいいですか?」
これから民泊を始める方からご相談をいただく中で、かなり多い質問です。
民泊の物件探しは、開業までの中でも最初の大きな関門だと思います。
特に賃貸の場合、一般の住居を探す感覚ではなかなか見つかりません。
家賃が安い。駅から近い。部屋が広い。
もちろん、どれも大切です。
ただ、民泊として使うのであれば、その前に確認したいことがあります。
民泊の物件探しで、まず確認したい3つ
- その物件を民泊として利用できるか
- そのエリアに宿泊需要があるか
- 実際に運営したときに収支が合うか
この3つを切り離さずに考えることが大切です。
今回は、実際に民泊を始めたい方から物件相談を受けてきた経験をもとにまとめます。
私が物件を見るとき、どこを確認しているのかを具体的にご紹介します。
賃貸で民泊物件を探すのは、正直かなり大変です
まず前提として、賃貸で民泊利用が認められる物件は多くありません。
通常の賃貸住宅は、自分で居住することを前提に貸し出されています。
そこを第三者へ宿泊施設として提供する場合、貸主側の承諾確認が必要です。
そのため、気に入った物件を見つけた後になって、
「ちなみに民泊でも使えますか?」
と確認すると、その時点で難しくなることも珍しくありません。
私は、最初から不動産会社へ民泊で利用したいことを伝えて探す方法をおすすめしています。
物件を探す段階で、「民泊利用や転貸について貸主の承諾を得られる物件か」を確認する。
民泊可能かは物件情報だけでは分からない
ここが最初のフィルターです。
「事務所利用OK」「SOHO可」などの物件なら、用途について相談できる可能性はあります。
ただし、その表記だけで民泊も可能という意味ではありません。別途確認が必要です。
民泊の物件探しでは、地元の不動産会社も回ってみる
民泊物件専門のサイトや不動産会社もあります。
ただ、希望する地域が決まっているなら、地域の不動産会社にも直接相談してみることをおすすめします。
地元で長く営業している会社では、インターネット掲載前の情報を持っていることがあります。
また、借り手がなかなか見つからない戸建てについて、オーナーへ相談してもらえる場合もあります。
① 希望するエリアを決める
最初から広げすぎず、自分でも土地勘のある地域から検討します。
② 地元の不動産会社を複数回る
1社だけではなく、何社か相談します。担当者によって民泊への理解も違います。
③ 最初から利用目的を伝える
後から伝えるより、最初から前提を共有した方が話は早く進みます。
④ 良い担当者とは関係を続ける
すぐに物件がなくても、「条件に合うものが出たら連絡してください」と伝えておきます。
物件探しは、一度検索して終わりではありません。
条件の良い民泊可能物件は多くありません。
良い不動産会社や担当者とつながっておくこと自体が大切だと思います。
不動産会社には何と伝えればいい?
難しく考えなくても大丈夫です。
例えば、これから私が探すのであれば次のように伝えます。
「このエリアで民泊として利用できる物件を探しています。戸建てを中心に考えています。短期宿泊利用や転貸について、オーナー様へ相談できる物件があればご紹介いただきたいです。」
民泊であることを隠して契約を進めるのはおすすめしません。
最初から用途を伝えたうえで、相談できるオーナーを探します。
その方が、その後も安心して運営しやすくなります。
賃貸と購入、どちらがいい?
こちらもよく聞かれます。
先に正直にお伝えすると、私自身は自己所有の物件を購入し、民泊として運営した経験はまだありません。
現在関わっている物件は、オーナー様から運営や管理をご依頼いただいているものが中心です。
そのため、購入については自分の購入経験ではありません。
不動産や民泊運営に関わる中で見てきた範囲でのお話になります。
賃貸から始める場合
賃貸のメリットは、購入より初期資金を抑えやすいことです。
一方で、民泊利用できる物件を見つける難しさがあります。
また、内装や設備をどこまで変更できるかも契約条件によります。
賃貸が向いていそうなケース
- まずは1物件運営して経験を積みたい
- 初期投資をできるだけ抑えたい
- エリアを変えられる余地を残したい
- 民泊事業そのものが自分に合うか確認したい
物件を購入する場合
購入なら、賃貸より改装の自由度を持ちやすくなる場合があります。
古い戸建てを購入し、リノベーションして宿泊施設にする方法もあります。
ただし、物件価格だけを見て判断するのは危険です。
水回りの改修や設備交換が必要になることがあります。
さらに、営業方法や建物条件によっては消防対応などにも費用がかかります。
「安い物件を買えた」ことと、「安く民泊を開業できた」ことは同じではありません。
購入価格ではなく、営業できる状態にするまでの総額で考えます。
購入については、別記事「築古・古民家は民泊に向いている?」でも詳しく扱っています。
「競合が少ない場所」を見つけても、すぐに飛びつかない
物件相談を受けていると、こんな話が出ることがあります。
「この地域はAirbnbがほとんどありません。狙い目ではないでしょうか?」
これは一度立ち止まって考えます。
競合施設が少ない理由は、一つではありません。
まだ誰も気付いていない市場なのかもしれません。
一方で、そもそも宿泊する人が少ない可能性もあります。
「競合がいない場所」を探すより、「泊まりたい人がいる場所」を探す。
物件探しでは、こちらの方を私は重視しています。
例えば、次のような点を考えます。
- 誰がその地域へ来るのか
- なぜ日帰りではなく宿泊するのか
- 観光客なのか、仕事目的なのか
- 国内旅行者が中心か、海外ゲストも来るのか
- ファミリー、カップル、グループのどこを狙うのか
先にターゲットをイメージできると、必要な物件も変わってきます。
都会と地方、どちらが民泊に向いている?
ここも、「都会だから良い」「地方だから安くて有利」という単純な話ではありません。
都市部は宿泊需要を確認しやすい一方、家賃や物件価格が高くなりやすいです。
また、競合施設も多くなります。
地方では、物件価格や賃料を抑えられるケースがあります。
ただし、宿泊需要そのものが少なければ運営は難しくなります。
私が地方で物件を見るなら、まずその地域に人が来る理由を探します。
例えば、次のような理由です。
- 有名な観光地への導線上にある
- 登山・海・アウトドアなど明確な目的がある
- 大きなイベントや集客施設がある
- 周辺の宿泊施設だけでは需要を取り切れていない
- 特定の旅行者にとって便利な立地になっている
初めて民泊をするなら、自分の生活圏や土地勘がある場所から検討するのも一つです。
実際に街を知っていることは、想像以上に大きなメリットです。
内覧では「おしゃれにできそう」以外も見る
物件の内覧へ行くと、完成後のイメージに意識が向きます。
「ここにソファを置いたら良さそう」
「この和室は宿として魅力が出そう」
こう考えること自体は大切です。
ただし、運営する側として見るべき部分もあります。
民泊目線の内覧チェック
- 駅・バス停などから実際に歩きやすいか
- 大きなスーツケースを持って移動できそうか
- 寝室を何部屋作れるか
- ベッドを置いた後も十分な動線が残るか
- キッチンや浴室など水回りの状態
- エアコンなど主要設備の状態
- 隣家との距離や騒音問題が起こりそうか
- ゴミを一時的に保管できる場所があるか
- 清掃スタッフがアクセスしやすいか
- リネンや備品を保管するスペースがあるか
宿泊者だけでなく、運営する人の動線も忘れずに確認します。
最後の2つは、宿泊者目線だけで物件を見ると意外と見落とします。
運営が始まれば、清掃スタッフは何度もその物件へ行きます。
「ゲストには便利だけれど、清掃や管理が非常に大変」という物件もあります。
古い物件は避けた方がいい?
築年数だけで判断する必要はないと思っています。
古い建物だからこそ出せる雰囲気もあります。
ただし、古い物件を見る場合は特に水回りと清潔感を確認します。
古さは魅力として見せられても、不衛生さや不便さは別です。
- 臭いが気になる
- 冬場の寒さが大きい
- 水回りが使いにくい
- 清掃しても清潔感を出しにくい
こうした部分は、開業後のレビューにも影響しやすいところです。
気に入った物件ほど、契約前に一度止まる。
良い物件が見つかった時ほど注意が必要です。
「他にも問い合わせが来ています」と言われると、早く契約したくなります。
しかし、民泊には一般の賃貸とは違う確認事項があります。
契約前に最低限確認したいこと
- 貸主から民泊利用の承諾を得られるか
- 管理規約等で民泊が禁止されていないか
- 想定する制度で営業できそうか
- 行政窓口への事前確認
- 消防署への事前相談
- 追加設備や工事に大きな費用がかからないか
この点は、民泊の種類を解説した記事でも触れました。
物件探しでは特に重要なので、契約前にもう一度確認します。
賃貸の場合は、民泊利用について後から確認できる形で承諾を残してもらうことをおすすめします。
口頭の認識だけでは、後になって双方の理解が食い違う可能性があります。
契約後に気付くより、契約前に確認した方が圧倒的に楽です。
物件を比較するときは、4つに分けて考える
何件か見ていると、どの物件が良いのか分からなくなることがあります。
そんな時は、次の4つに分けると整理しやすくなります。
① 需要
その場所に宿泊したい人がいるか。
② 実現性
民泊として利用でき、必要な手続きを進められそうか。
③ 収益性
家賃や初期費用を含めても、事業として成り立ちそうか。
④ 運営しやすさ
清掃、備品補充、トラブル対応まで現実的に回せそうか。
写真で見て一番魅力的な物件が、一番良い民泊物件とは限りません。
この4つを総合して考えると、判断しやすくなります。
最初から「完璧な物件」を探し続けない
物件選びは大切です。
一方で、条件を増やしすぎると、いつまでも始められなくなります。
特に賃貸民泊では、そもそもの候補数が少なくなります。
- 駅徒歩5分以内
- 戸建て
- 家賃○万円以下
- 築浅
- 駐車場付き
- 十分な広さがある
すべてを必須条件にすると、ほとんど候補が残らないこともあります。
まずは候補を見つけ、問い合わせる。
実際に内覧する。
難しかった理由を振り返る。
そして、次の物件では条件を少し変える。
物件探しも、「仮定する → 行動する → 振り返る → 改善する」の繰り返しです。
頭の中だけで正解を探すより、実際に問い合わせると分かることが一気に増えます。
よくある質問
民泊可物件は普通の不動産サイトでも探せますか?
探すこと自体はできます。
ただし、掲載情報だけでは民泊利用の可否が分からないケースが多いと思います。
気になる物件を一件ずつ問い合わせる方法もあります。
最初から不動産会社へ「民泊利用可能な物件を探している」と相談する方法も効率的です。
「事務所利用可」なら民泊もできますか?
事務所利用が認められていても、それだけで民泊可能という意味ではありません。
貸主の承諾や建物側のルール、営業制度などを別途確認してください。
競合民泊が少ないエリアは狙い目ですか?
必ずしもそうではありません。
競合が少ない理由を確認する必要があります。
「まだ供給が少ない」のか、「宿泊需要自体が少ない」のかでは意味が違います。
周辺の宿泊施設や観光客の動線などを見ながら判断します。
賃貸と購入、初心者にはどちらがおすすめですか?
資金状況や今後の事業方針によるため、一概には言えません。
初期投資を抑えて経験を積みたいなら、賃貸から始める考え方があります。
一方で、賃貸には民泊利用できる物件を探す難しさがあります。
購入では自由度を持ちやすくなる場合があります。
ただし、取得費だけでなく改修費や設備費まで含めて判断します。
民泊の物件探しで迷ったら
民泊の物件選びでは、単に「良い家」を探すだけでは足りません。
その場所に需要があるか。
民泊として利用できるか。
収支が合うか。
実際に運営を続けられるか。
この4つを一緒に考える必要があります。
Lime Worksでは、実際の民泊運営や物件相談の経験をもとに、候補エリアや物件選定についてもご相談をお受けしています。
まだ物件を見つけていない段階でも問題ありません。
「どこから探せばいいか分からない」という段階から、お気軽にご相談ください。
参考情報
住宅宿泊事業の制度や届出については、観光庁の「民泊制度ポータルサイト」もご確認ください。
住宅宿泊事業の届出や制度の概要については、各自治体の窓口情報も同サイトから確認できます。
※本記事は、Lime Worksが実際の民泊運営や物件選定に関する相談を通して得た経験をもとにまとめています。物件ごとの営業可否や必要な手続きについては、契約前に貸主・管理者および管轄する行政機関等へご確認ください。
