民泊のインテリアは「おしゃれ」よりターゲット|誰に泊まってほしいかから考える部屋づくり

民泊を始めるとき、「どんなインテリアにすれば予約が入りやすいですか?」と聞かれることがあります。
- 無印良品のようなシンプルな部屋
- 和モダン
- ホテルライク
- 北欧風
どれも悪くありません。
ただ、私が先に考えるのは「何風にするか」ではありません。
誰に泊まってほしいのか。
ここから考えます。
実際のコンサルでも、インテリアそのものの良し悪しだけでは判断しません。
まず「誰に泊まってほしいのか」を整理します。次に、「その人は何に魅力を感じるのか」を考えます。
おしゃれな部屋を作るのではなく、泊まってほしい人にとって使いやすく、魅力的な部屋を作る。
この順番が大切です。
「無印良品っぽい部屋」にすれば正解?
シンプルで清潔感のあるインテリアは、多くの人に受け入れられやすいと思います。
そのため、白・ベージュ・木目を中心にした部屋は、民泊でもよく見かけます。
ただ、競合物件も同じような部屋だったらどうでしょうか。
「きれいだけど、どこかで見たことがある」という状態にもなります。
実際の相談でも、成功している物件のデザインをそのまま横展開しているケースがありました。
悪いわけではありません。しかし、それだけでは特徴が出にくい場合があります。
そこで見るのが、ターゲット、滞在シーン、写真での見せ方です。
「人気のデザインを真似する」ことと、「自分の物件に合ったデザインを作る」ことは別です。
まずは立地や間取りを見て、どんな人が泊まりそうなのかを考えます。
ターゲットによって、必要なものは変わる
例えば、同じ2LDKでも必要なものは変わります。
カップル2人で泊まる宿と、家族5人で泊まる宿では、過ごし方が違うからです。
インテリアを考える前に、私は次のようなことを整理します。
- 何人で泊まることが多そうか
- カップル・友人・家族・グループのどこが中心か
- 1泊中心か、連泊が多そうか
- 宿の中で食事をする可能性が高いか
- 車で来る人が多いか
- 小さな子ども連れが想定されるか
- 宿でゆっくり過ごすのか、観光中心なのか
ターゲットが決まると、家具や設備を選ぶ理由が生まれます。
ファミリー向けなら「映え」より使いやすさを見る
ファミリーを想定するなら、写真映えだけでは判断しません。
家族全員が、無理なく過ごせるかを見ます。
- 人数分が座れるダイニング
- 十分なベッド数
- 荷物を置くスペース
- 子どもが動きやすい動線
- 使いやすいキッチン
- 複数人でも混雑しにくい水回り
こうした部分を確認します。
実際の相談でも、大人数向けの施設では「9人泊まれる」という数字だけでは見ません。
9人で泊まっても、ストレスが少ない設計になっているか。
こちらの方が重要です。
水回りの数や、全員で食事できるスペースまで含めて考えます。
定員を増やすことと、快適に泊まれる人数を増やすことは違います。
例えば6名定員でも、ダイニングチェアが4脚しかなければ不便です。
こうした小さなズレは、実際に泊まると意外と気になります。
グループ向けは「集まれる場所」が重要
友人同士や複数家族のグループなら、寝室だけでなく共用スペースも重要です。
せっかく6人で泊まるのに、全員が一緒に座れる場所がない。
これでは、宿全体の満足度が下がる可能性があります。
- 大きめのダイニングテーブル
- 全員で座れるリビング
- 食事をしやすいキッチン
- 荷物を分散して置ける場所
- 寝る人同士の距離をある程度確保できる寝室
このように、グループ全員が一緒に過ごせるかを考えます。
「ベッド数を増やせば売上が上がる」とだけ考えるのはおすすめしません。
その人数で、本当に快適に過ごせるかを見る方が大切です。
カップルや少人数なら、余白も価値になる
一方、2名利用を中心にするなら、家具をたくさん置く必要はありません。
むしろ、詰め込みすぎると部屋が狭く見えます。
- ゆっくり座れるソファ
- 小さくても雰囲気の良いダイニング
- 落ち着く照明
- 窓からの眺望
- 気持ちよく休める寝室
こうした要素の方が、印象に残る場合があります。
私自身、あるリスティングでは「鎌倉が好きな、落ち着いた2人旅」を一つのイメージにしました。
そこから写真や滞在シーンを組み立てています。
モデルを入れる場合も、人そのものを主役にはしません。
「この空間で、こう過ごす」
そのイメージを伝えるために使っています。
海外ゲストを意識するなら「日本らしさ」を盛りすぎない
海外ゲストが多い地域では、「外国人向けなら和風にした方がいいですか?」という相談もあります。
日本らしさは、一つの魅力になります。
ただ、部屋中に和柄や提灯などを置けば良いという話ではありません。
私は、現代的な快適さの中へ自然に取り入れるくらいでも十分だと思っています。
- 木の質感
- 障子
- 畳
- 庭
- 和紙照明
- 日本らしい器
「日本らしく見せる」より、「日本で気持ちよく過ごせる空間」を作る。
ゲストの好みは人それぞれです。
そのため、「海外ゲストなら和風」と一括りにはしません。
その物件や地域の魅力の一つとして、日本らしさを使います。
インテリアは清掃のしやすさまで考える
これは、宿泊施設ならではの部分です。
見た目が良くても、運営開始後の負担が大きすぎる家具や装飾があります。
- 毎回動かさないと掃除できない家具
- 汚れやすい素材
- 壊れやすい小物
- 洗いにくいラグ
- ホコリがたまりやすい装飾
実際の相談でも、見た目だけでは判断しません。
清掃負荷、耐久性、汚れた後のリカバリーまで含めて考えます。
民泊のインテリアは、撮影した瞬間が完成ではありません。
何十組、何百組とゲストを迎えても、無理なく維持できることまで含めて完成です。
特に、ゲストが直接触れるものは耐久性も確認します。
- ソファ
- ダイニングチェア
- ラグ
- カーテン
- 寝具
デザインだけでなく、日々の運営まで含めて選びます。
最初から全部を作り込みすぎない
開業前は、「せっかくだから完璧にしたい」と思います。
しかし、実際に運営すると、始めてから分かることがあります。
- この椅子はほとんど使われない
- ここに荷物置きが欲しい
- 子ども連れが想定より多い
そのため、私は最初から装飾を詰め込みすぎない方法も良いと思っています。
まず基本を整えて、実際に運営を始めます。
その後、ゲストの反応やレビューを見ながら追加します。
この方が、結果として無駄な買い物も減ります。
最後に見るのは「その人がここで何をするか」
インテリアを考える時、色や家具、照明、素材から入ることもできます。
ただ、その前に考えたいことがあります。
誰が泊まるのか。
そして、
その人が、この部屋で何をして過ごすのか。
ファミリー
みんなで食事できる。荷物を置ける。子どもと一緒に過ごせる。
友人グループ
全員で集まれる。一緒に料理できる。
カップル・2人旅
落ち着いて過ごせる。景色や空間を楽しめる。
このように、家具を「物」ではなく「過ごし方」から逆算します。
ここまで決まると、家具選びもしやすくなります。
- このソファは本当に必要か
- この大きさのテーブルで十分か
- ベッドをもう1台増やすべきか
こうした判断に、理由を持てるようになります。
よくある質問
インテリアコーディネーターへ依頼した方がいいですか?
予算や物件によります。
専門家へ依頼すると、色や家具の統一感を作りやすくなるメリットがあります。
ただし、民泊ではデザイン以外も重要です。
清掃のしやすさ、耐久性、定員、ゲストの動線も考える必要があります。
依頼する場合も、「どんなゲストを想定しているか」まで共有することをおすすめします。
無印良品のようなシンプルな内装では差別化できませんか?
シンプルなデザイン自体が悪いわけではありません。
ただ、近隣物件も同じようなデザインなら、それだけでは選ばれる理由になりにくくなります。
その物件ならではの立地、眺望、間取り、設備などと組み合わせて考えます。
ベッドは置けるだけ置いた方がいいですか?
私はおすすめしていません。
宿泊人数を増やしても、共用スペースが不足していれば快適には過ごせません。
リビングやダイニング、水回りまで、その人数で使えるかを確認します。
「何人寝られるか」ではなく、「何人なら快適に滞在できるか」で考えます。
民泊のインテリアで迷ったら
インテリアには、正解が一つあるわけではありません。
同じ物件でも、ファミリー向けなのか、2人旅向けなのか、大人数グループ向けなのかで変わります。
必要な家具や設備も、それぞれ違います。
「何色にするか」より、先に「誰に泊まってほしいか」を決める。
そこから民泊の部屋づくりは始まると思っています。
Lime Worksでは、実際の民泊運営やリスティング改善の経験をもとに、ターゲット設計や家具・設備についてもご相談をお受けしています。
「家具を買う前に、一度方向性を整理したい」という段階でも、お気軽にご相談ください。
※本記事は、Lime Worksが実際の民泊・宿泊施設の運営、および民泊運営に関するコンサルティングを通して得た経験をもとにまとめています。適したターゲットやインテリアは、物件の立地・広さ・間取り・価格帯などによって異なります。
参考:Lime Works 民泊運営・コンサルティング実務事例
